古川ひろの世界　プロフィール

古川ひろの世界

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「月刊チャイム銀座」 2002年1-2月号

　発行者：(株)和光

　撮影者：近藤正一氏

　異なるジャンルの芸術品が出合い、新たな創造を生むことがある。こうした幸福な出合いがジュエリーの分野で起きた。磁器に上絵付することを、ポーセリンペインティングという。磁器に絵付、中でも肖像画を描くことは、以前からヨーロッパで行われていたが、その多くは壷や食器に描かれた大ぶりなものがほとんどだった。それを直径二～三センチほどの中に、髪の毛や顔の表情にいたるまで敵密な描写で表現したのは、大手陶磁器メーカーで長く絵付を担当していた古川ひろ氏である。
　今から四年ほど前のこと、その古川氏の作品を展覧会で見て、インスピレーションを受けたのは、ご夫妻でジュエリーデザインを手がける松崎勉氏と夫人の憲子さん。三〇年余りのキャリアを持つお二人は、イメージに合う小ぶりで美しいポーセリンを探していたところだった。

　さっそく連絡を取り合って意気投合し、制作を開始。こうして、あでやかな女性の姿が絵付された磁器の周囲を、金やプラチナ、色鮮やかで個性的な宝石でアレンジした新たなジユエリー、「ポーセリンアート」が誕生した。

　松崎夫妻は歴史上著名な女性を中心にテーマを絞り、二年余りの準備期間を経て、「世紀を超えて輝いた女性たち」と題して今回、個展を開く。モチーフとなった女性たちは多士済々。聖母マリア、クレオパトラ、ジャンヌ・ダルク、マリー・アントワネット、楊貴妃、紫式部から、悲恋の主人公ジュリエットなど、時代の雰囲気を伝え、これまで歴史を彩った女性たちが、美しいジュエリーとなって現代に甦った。　宝飾はポーセリンが完成してからデザインされ、ふさわしい宝石を求めて原産地まで出向く。「水色を背景に描かれたマリー・アントワネットは、同色のアクアマリンを探し、最高級のものを入手しました」と松崎勉氏は言う。

　大英帝国の栄華をもたらしたエリザベス一世には、ブラウンダイヤを周囲にちりばめ、ジュリエットはルビーに美しい真珠が華やかさを際立たせるなど、出品作は個性的な逸品揃い。「二一世紀は女性がますます輝く時代であってほしいと願い、あくまで身につけて映えることを念頭に、代々お伝えいただける宝物としてデザインしました」と松崎憲子さんは語る。感性と技術にあふれた古川氏と松崎夫妻の創造のコラボレーションに期待したい。

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